2025年第二十二回博麗神社例大祭に向けて開発中の「音が出るハードウェア」です。

予定頒布価格 10000円

  • 消費電力:5V 1A(ただし1Aは最大。再生時通常は500mA前後)
  • サイズ:132(横) x 80(高さ) x 92(奥行) [mm]
  • 重量:***g

500mA制限のUSBポートに接続する場合は定格オーバーの可能性がありますのでご注意ください

ふつうの人向けの東方JukeBox説明

  • USB電源をつなぐだけ、本体だけで内蔵のスピーカから音が出るので、これだけで音楽が楽しめます
  • スマホで聞くよりもしっかりした低域再生ができます(注意:ハイレゾではありません
  • 割と多ジャンルな東方アレンジを30曲前後収録予定で、頒布後にも曲が増えるかもしれません(2025年3月21日現在21曲完成済み
  • 採用しているスピーカで音のバランスを取っているので、曲を作った人が考えたバランスで再生ができます
  • USBコネクタに接続できる外部モバイルバッテリーに対応できますので電源がない環境でも使えます

東方JukeBoxの空気録音を試聴する

東方JukeBoxの試作機を使ったテスト環境で収録予定楽曲を空気録音したものです(空気録音とは…スピーカから出た音を、マイクで録音したもの)。

原曲:少女秘封倶楽部

スタンダードアレンジ

原曲:廃獄ララバイ

アコースティックアレンジ

原曲:龍王殺しのプリンセス

電波系アレンジ

原曲:今宵は飄逸なエゴイスト

スタンダードアレンジ

原曲:U.N.オーエンは彼女なのか?

魔法少女系アレンジ、Innocent Key再録曲:ミラクル魔法少女☆フランちゃん~大人に大変身でパニック!の巻~

原曲:ラクトガール~少女密室+ヴワル魔法図書館

キャラクターイメージアレンジ、Innocent Key再録曲:Jewelry Magic

ほか収録予定原曲(予定は変更になる可能性があります)

  • 月まで届け、不死の煙
  • エクステンドアッシュ ~ 蓬莱人
  • ネイティブフェイス
  • 少女さとり ~ 3rd eye
  • ハルトマンの妖怪少女
  • 感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind
  • 世界は可愛く出来ている
  • 二色蓮花蝶
  • 東方妖恋談
  • 運命のダークサイド
  • 緑眼のジェラシー
  • 無何有の郷 ~ Deep Mountain
  • アリスマエステラ
  • 可愛い大戦争のリフレーン
  • 未知の花 魅知の旅
  • 魔術師メリー
  • 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life
  • ティアオイエツォン
  • 緑眼のジェラシー
  • 幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble

ふつうのQ&A

  1. イヤホンやヘッドフォンには対応していますか?
    対応していません。理由はスピーカとアンプを想定したバランスで内部楽曲を作成しているためです。イヤホンやヘッドフォンでは開発側の意図した体験をお届けすることができません。
  2. ボーカル曲の収録はありますか?
    内部方式の制約でボーカル曲はできません。インスト曲のみです。ちなみに東方の原曲はインスト曲に該当します。
  3. ボリューム調整は可能ですか?
    できます。本体の上のスイッチにボリュームボタンがつきます。
  4. 追加楽曲は最初に買った人にも提供されるのでしょうか?
    全てはまだ未定ですが、東方JukeBox本体購入者に新しいファームウェアで提供を考えています。PCなどからUSBでアップデートができる予定ですがまだ決まっていません。
  5. 追加楽曲はどの程度の規模を予定していますか?
    初期30曲に加えて20曲前後を検討していますが、本体が予定よりも売れなかった場合は予定自体が消滅になるかもしれません。

まにあな人向けの東方JukeBox説明

ここの説明はyohineがまとめて記載しています。

内部構成ブロック図

  • 内部処理はmp3プレイヤーではなく、MIDIプレイヤー兼PCMプレイバックサンプラーとなっています
  • このような構成を採用することで、ほぼ無制限の楽曲数の追加が可能となり、追加機能として楽曲テンポ調整、音程変更、再生楽器の個別の有効/無効、パートバランス調整、シームレスな無限ループ処理など、再生の楽しみの可能性も広がります
  • PCMサンプラー部はメモリ32MB、音色数は72でGMには非準拠。今回のJukeBox向けに特化厳選した音色配列となっています
  • PCMサンプラーで対応するのはモジュレーション、エクスプレッション、ポルタメント、ピッチ、基本的なADSRなど。CPU1+2で同時発音数は最大24ですが、各CPUごとに12音の制約があります
  • Ch1と2はLとRを意味せずパートごとに再生スピーカを分割して振り分けられます。性能の低いアンプやスピーカでもベースとドラムの分離が良くなるような効果を期待しています

特に苦労した点は以下の部分です。

  • 音程処理を伴うPCMサンプラーは非同期リサンプリングをリアルタイムで行うため周波数の折り返し成分の対策が非常に重要です
  • メモリには44.1kHz 32MBデータで収録されていますが周波数の折り返し成分対策のためで、実際のオリジナルの音源はすべて22.05kHzで作られています。最終出力を88.2kHzに設定しているのも周波数の折り返し成分対策のためです
  • RP2040で実装できる程度のリバーブは音質を考慮するとかなりギリギリの実装で、最後はアルゴリズムではなく職人的なパラメータ設定が最も重要かつ手間のかかる作業でした

ほかにも同人でMIDI対応のハードウェアを作られている方がいましたが、生成シンセが中心でサンプラーではない理由もこのあたりが理由かもしれないと思いました(音源素材を用意する手間もあると思いますが)。

音質設計と思想について

実質22kHzサンプリング音源では高域が不足してしまう、というのが一般的に予想される結果だと思いますが、東方JukeBoxに搭載の内蔵アンプとスピーカで鳴らすと圧倒的に低域不足の印象です。MIDIデータ作成時のミキシングではキックとベースをとんでもなく大きい音量で鳴らしているのですが低域は全然不足です(これはイヤホン接続を非推奨にしている理由のひとつです)。

高域の質はとても悪いものですが、THD性能の悪いスピーカに低性能マルチビットDACの組み合わせなので必然的に高調波が大量に発生し10kHz以上の成分は割としっかり出ています。内部リサンプリングの荒い処理も高域成分を付与する条件なので22kサンプリングと割り切ってちょうどよかったかもしれないと言えるような結果でした。そうでなければ高域ばかりうるさい仕上がりだった可能性もあります。

オーディオには「40万の法則」という言葉があるのですが、これは低域と高域のレンジの広さと両者の帯域バランスが釣り合っているときに、人にとってバランスが良いと感じられる法則で、例えば高域だけ過剰や低域だけ過剰でもいまいちで、どちらも出ていないほうが良く感じられるという話です。たとえば上限が10kHzなら低域は40Hzまで、上限が20kHzなら低域は20Hzで積が40万となり、東方JukeBoxは40Hzも出ませんが高域を落としている分まだ良いということです。

もちろんこれは極端な条件では成立しませんが、一線を越えるオーディオシステムなら個人的に一定の説得力があったので今回はこのアイデアを参考にしてみました。

PCB関係

参考掲載 プロトタイプPCB

  • とにかくコストダウン重視。昨今の経済事情を考慮してもできるだけ安くお届けしたいので
  • PCBは2層設計ですがほぼ1層のみに配線パターンをまとめ、裏面に連続したベタGND面を確保しています
  • 当初USB電源と電池電源を自動切り替えすることを検討していたのですが、消費電力が高すぎたため最終的にUSB電源のみになりました(USBコネクタのつながる外部バッテリーには対応します
  • 5V電源から3.3V電源と7.5V電源を生成しています。7.5Vの生成はDC-DCでアナログアンプ出力用で発熱と振幅のバランス調整の結果暫定的にこの電圧です
  • クロックは12MHz単体から3つのCPUに分配しています
  • プロトタイプではCPU1-2のFlashをRP2040の直下にも追加でレイアウトしていますが削除予定です
  • アンプの出力の抵抗も削除予定です
  • 最終レイアウトはケースの形状変更に伴い再設計予定です

東方JukeBox内蔵音源のこだわりについて

ここを読んでいる方の中には往年のDTM音源のRoland SCシリーズやYamaha MUシリーズをご存知の方もいるかもしれません。今回音源の開発協力をしているyohineもこれらの音源は使用経験がありますし、少しだけ意識しています。といってもリスペクトとかフォローと言う意味ではなく、どちらかというと典型的なDTM音源と同レベルの出音にはしたくないという目標意識です(これらの音源のファンの方すみません…)。

ただし今回はRP2040の制約で性能が不足しています。結局のところ最終実現できたスペックや機能はトータルでSC-55以下です。

メモリだけは32MBありますが内訳のサンプル素材そのもののレートは折り返しノイズ対策のために収録周波数を22kHzに制約しているので実質16MB分です。エフェクトはReverbのみでフィルター機能もありません。プログラム音色はリズム含めて72個だけです。同時発音数も制約付きの24音。なのでSC-55よりほとんどのスペックは低いです。

それでも空気録音のデモを聞いていただければ、ほとんどのDTM音源の平均的な再生音より鳴りっぷりの良い印象だと思いますがどうでしょうか?個人的な印象ではyohineが過去に手掛けた東方アレンジ楽曲の8割くらいのニュアンスは今回の音源でなんとか移植できそうな手応えでした。

この音を出すために工夫しているのは具体的には次のような点です。

  • 個人的な過去のよく使う音色を中心にリストアップし、そこからできるだけ多くのジャンルに対応できるような組み合わせを厳選しました。しかしその上で重要でない音色や楽器は音域含めて一切収録をしない決断をしました
  • 収録元の音源素材はできるだけ加工済みとしてミキシング段階で処理をせず即戦力で使えるような音色で収録しています。DTM音源のプリセットのように帯域や音圧の制限は一切せず、その楽器らしいレンジや複雑な波形もそのままにしています。このおかげで適切な編曲であればパート数が少なくても厚みのある説得力のある音が得られます
  • 複数の奏法が必須の楽器は個別の奏法も収録し、複数のプログラムまたはMIDIチャンネルの削減のために音域に分けて奏法の割当をしています。
    ほかには歪ギターではソロとバッキングを別プログラムに割当し、バッキングではミュートとハーモニクスと5thと6thのディストーション処理済みの音を収録しており、これはGM規格では実現できません
  • 容量削減のために波形のループポイントはできるだけ短くしていますが、ループ自体の長さは長めに確保し特に生楽器のロングトーンに違和感が発生しないように調整しています。複雑な波形かつ抑揚もそのままに収録している関係でループポイントで切り替えノイズが発生しているプリセットもありますが細部の完全性より全体の説得力や印象を重視した結果です
  • モジュレーションは正弦波カーブではなく、より音楽的なモジュレーションカーブを採用しています
  • エクスプレッションやベロシティはリニアではなく独自の係数による音量カーブになっており通常のMIDI音源と比べてダイナミクス表現を得意としています
  • ボリューム機能も一般的な音源と違い、平均値が60/127前後で設定する設計になっており、最大値付近は音割れしてしまうほどなので極端なダイナミクスを実現可能です。これは最終Mixバランスで特定パートの音をこれ以上上げられない問題を防ぐためです。現代のDAWではミキシング時にこのような問題はありませんがDTM音源ではよくある問題でした
  • ポルタメントはコントロールチェンジで有効化が可能で、重複するノートが発生した場合にモノラル発音かつポルタメント処理となり、重複側のベロシティによって遷移速度を自動調整する仕様になっています(Sample Modelingなどが採用している方式と同等)。これによってMIDIでピッチベンドを使う頻度を減らしMIDI容量削減に貢献しながら表現力を維持できます
  • 音楽制作側の能力でカバーすることが前提の設計です。たとえばEQやコンプを極力使わないミキシングや編曲技術や音色厳選が前提です

以上のように、DTM音源のよくある問題点と、VST音源時代以降に実装された様々なノウハウを組み合わせて、少ない容量と機能制限でも説得力のある音を出せるように工夫して音源を制作しました。イヤホンやヘッドフォンで聞くと決して高音質ではないですが少なくとも今回のアンプとスピーカで聞く上では十分です。

もちろん既製品のサンプルが元になっているので音源自体を公開することはできませんがそのぶんその制約に見合う良いものができたのではないかと感じています。少なくともこちらが意図として伝えたい音は実機から出ています。

内蔵音源の制約事項

VST音源時代のノウハウを集約というと今どきの音楽についてはどうなのかって思われるかもしれませんのでこれについてははっきりと書いておきます。

東方JukeBoxはEDM系とか流行りの新しい音楽は全くできません。

エフェクターがないのでテンポ同期のサイドチェーンもOTTもないし、さらにPCMサンプラーは音程で音の長さが変わってしまうのでBPM同期なんて全くできません。なので今どきの楽曲に対応するのは事実上不可能です。

このあたりの相談もくろ。さんとしたのですがどうせyohine一人ではEDM系は全然できないし今は必須のジャンルだけどプリセット音色から流行の音は完全に除外しました。それより古めだけど本来得意だった音楽でむしろ良いという意見をもらいました。まだ20代前半のくろ。さんにそう言ってもらえたのはとても良かったです。

東方というジャンルはZUNさんのオリジナル曲が好きな人が多いし、それらはyohine的にもだいぶ懐かしいメロディ中心の音楽だと思うし、音楽があふれる現代でも東方が好きな人が集まっているのが今の界隈だからボーカルもEDMもいらないという意見をもらって、今回のような仕様になりました。

まにあなQ&A

  1. 東方以外の楽曲が追加される可能性はありますか?
    技術デモ的な側面も含めて曲数自体は非常に少数ですが予定はあります。もちろん同人でこのような形態でリリースしても権利的に問題ない楽曲になります。
  2. 最大出力音量はどの程度でしょうか?
    USB電源とアンプの制約によりスマホの最大音量と比較して大幅に大きい音は出せません。スマホより筐体が大きく重いので低音は少し有利ですが大音量と言えるほどの音量ではありません。
  3. 音質調整や、音色やバランスの変更機能などはありますか?
    初期バージョンではいずれも非対応です。EQなどの音質調整はCPUリソース的に絶対無理ですが、MIDIでできる音色やパートのバランス変更機能はあとから実装ができるかもしれません。このような調整機能はmp3再生では不可能ですし東方JukeBoxの優位性となる機能だと思いますので可能であれば検討したいです。
  4. ユーザー側でMIDI入力やオリジナルの楽曲制作は可能なのでしょうか?
    対応していません。主な理由は使用音源のライセンスの制約によるものです。ほとんどのメーカーは楽曲再生用途以外の素材配布を禁止しています。東方JukeBoxはあくまで音楽再生専用です。オープンなMIDI入力に対応するためには上記制約がない音源やオリジナル楽器でライブラリを再構築する必要があります。多くのリクエストがあれば検討します。
  5. オープンソースになる予定はありますか?
    企業ライセンスに関係する使用音源素材以外は公開予定していますがまだ確定はしていません。